この地獄を生きるのだ
「この地獄を生きるのだ」という本。
Twitterでちょっと話題だったので読んでみた。
筆者が「毎日行く所があるのはありがたい」って書いてたんだけれど、
俺も引きこもりみたいな時期は全く同じことを考えてたな。
毎日どこかに行く宛も無いし、金もないから家に居るって感じだった。
年末頃に「今年は雨が少なかったね」と親に言ったら「家から出てないからでしょ」と言われてハッとしたのを覚えている。
あと筆者が通うデイケアのクリニックがまた怪しい。
通院患者が望まない、搾取紛いのお菓子販売ビジネスをやらせたり、
MR(製薬会社の営業)がクリニックに出入りするようになって以来、
他の患者の中には指定された製薬会社の統合失調症患者向けの薬(本文の中ではデポ剤と呼ばれていた)を使わないと主治医を降りると脅されている人がいたり、終いにクリニック内の統合失調症患者が増えていき、クリニックのスタッフもデポ剤こそ救い、のような言い方をするようになったり、患者を生殺しのゾンビにして金を吸い上げる、ヤクザが生活保護受給者を集める貧困ビジネス紛いのことをやってると書いてあるけど、手が込んでる分、もっと悪質だなと感じた。
この生殺しビジネスの部分は最近読んだ別の本、
「クレイジー・ライク・アメリカ」の内容と少し被るな…と思った。
クレイジー・ライク・アメリカは副題が「心の病はいかに輸出されたか」なんだけれど、製薬会社と医師たちがメシを食っていく為に病気を造り出し、診断基準を輸出し、指定の製薬会社の薬を買わせるって旨の話。
たとえば非ベンゾ系の睡眠薬として有名なアモバンはフランスの製薬会社が開発していて、アメリカのFDA(アメリカの厚生省みたいな所)はそれを認可せずに、アメリカの製薬会社が開発したルネスタという薬効的にはほぼ同じ薬を認可している。
他にも抗てんかん薬のデパケン(フランス製)とデパコート(アメリカ製)も同じような例のひとつ。アメリカのFDAは自国の新薬承認に甘く、他国の新薬承認は認めないようだ。
ちなみに日本はアモバンとルネスタ、どちらも認可されている稀有な国です。
本の中には日本での例も載っているので興味がある人は読んでみてほしい。
あと、フィクションと銘打ってるけどアルコール依存症病棟で起こる様々な出来事を書きつつ、導入された睡眠薬の問題点(上記のような事だけど)について書いてる、「ソムニジンの夢」っていう本も面白いので、是非。
この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。
- 作者: 小林エリコ
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2017/12/07
- メディア: Kindle版
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ソムニジンの夢だけリンクがはてなからリンクが貼れないのでURL http://amzn.asia/9PNsUHr